エキゾチック・サウンドの巨匠レス・バクスターが何を思ったか普通のティーン向けヒット曲を普通にカバーしたというある意味ストレンジな一枚。彼のオリジナル盤はとんでもないネダンが付いてたりするのが常ですが、物がヤングポップス（苦笑）となると話は別。いや、あえてハズしたんじゃなくて、これしか買えなかっただけのことですが。
というわけで、もちろん「静かな村」も「密林の花」も入ってませんが、そういうのは復刻CDで聴けって話でした。
ずいぶんあっさりしたレイアウトです。てゆうか'60年代後半のジャズで美女ジャケというのは微妙に遅れてる感じですが、裏面解説によると録音は1957年だそうで…でもジャケットもその頃に作られたものなのかどうかは知りません。
それにしても初出の1966年まで9年もお蔵入りになってたのは一体どういうわけでしょう。さらに electronic STEREO と銘打った実は擬似ステレオでも煙に巻いてくれる一枚。
写真が小さくてよくわからないかもしれませんが、メキシカンな女子が身に纏っているのはウエディングドレスではなく、タイトルに因んでホイップクリーム。
今でこそ普通の大手レコード会社になってしまったA&Mですが、本来のA&Mサウンドはやっぱりこの時代のこの系統。なんせA&MのAはアルパートのAだし。というわけで買収騒動なんかもあった某ラジオ局の某人気深夜番組で有名なあの曲も入ってます。
本当に低予算なら4色刷りなわけないし、やっぱりこりゃ狙った上での“戦前ジャズ発掘音源コンピ盤”ぽさなんだろうな。この集合写真もカラマズーあたりまで行って撮影してきたに違いない…などと勝手に想像してましたが、車輌番号調べたら千葉県佐倉機関区でした。やっぱり安かったのか！
ところでこのアルバム、どうも音質的に「恋のメキシカンロック」と同じ日に同じ場所で同じ人たちが録ったように聞こえるのですが、果たして…
こちらは本物の戦前ジャズ発掘コンピ盤（やっぱり3色刷でなくちゃ！）。彼のライブ盤といえば素人録音で音の悪いミントンハウスのジャムセッションが有名ですが、こちらはちゃんとした放送用録音なので音はスタジオ盤と変りません（そもそもこの時代はスタジオもライブもワンポイントマイクの一発録りなんだけどね）。
それにしてもオーケストラのトゥッティを切り裂いて電気ギターが鳴り響く「ソロ・フライト」の画期的な音像を当時の人はどう感じたんだろう。